「その仕事、あなたにしかできない」が会社の弱点になる ―― 少人数だからこそ、業務のマニュアル化を

こんにちは、ハルカです。製造業の人事ひと筋29年、総務や労務の現場をずっと見てきました。

今日は、中小企業の総務・人事で「あるあるだけど、なかなか手をつけられない」テーマ――業務の属人化とマニュアル化の話です。

「ひとり担当」は、会社にとって合理的な選択

総務や労務を、ひとり、または少人数で回している会社はとても多いです。実際、それは経営の判断として合理的でもあります。

管理部門は、直接、利益を生む部署ではありません。だから人数を絞れば、そのぶん労務費(人件費)を抑えられる。「今の人数で回っているなら、それでいい」――そう考えるのは自然なことです。

でも、その「回っている」の裏側で、実は静かにリスクが積み上がっていることがあります。

その裏で、静かに起きていること(属人化のリスク)

ひとりの担当者に業務が集中すると、こんなことが起きます。

担当者本人にとって

  • 自分にしかできない仕事があるから、休みが取りづらい
  • 体調を崩しても、代わりがいないので無理をする
  • 「辞めたくても、引き継げないから辞められない」

会社にとって

  • 担当者が急に休んだり辞めたりすると、その業務が止まる
  • どうやっていたのか、他の人には分からない
  • 積み上げた知識やノウハウが、その人の頭の中だけにあって、会社の資産として残らない

やり方が「その人の頭の中」にしかない状態。これが属人化です。

リスクの“その先”にあるもの

属人化の本当に怖いところは、リスクが次のリスクを呼ぶことです。

  • 業務が止まる:給与計算の担当者が急に入院したら? 給料日に間に合わなければ、社員の生活に直結します。止められない仕事ほど、ひとりに集中しがちです。
  • 誰もチェックできない(ブラックボックス化):やり方が本人にしか分からないと、ミスや抹けがあっても、周りは気づけません。
  • 改善が止まる:中身が見えないから、「もっと効率化しよう」という話にもならない。非効率なやり方が固定化します。
  • そして、担当者が疲れて辞める:休めず、抱え込み、評価もされにくい。結果として辞めてしまい、引き継ぎもないまま、会社に何も残らない――これが最悪のパターンです。

「ひとりで回して労務費を抑えられている」つもりが、いざ何かあったときに、止まった業務の立て直しや、ゼロからの引き継ぎに、はるかに大きなコストがかかります。目に見えない“将来のコスト”が、静かに積み上がっているのです。

「分かってはいるけど、手が回らない」という悪循環

ここまで読んで、「そうなんだよね」と思った方は多いはずです。属人化がリスクなのは、みんな薄々分かっています。

でも――普段は目の前の業務に忙殺されていて、「マニュアルを作る」なんて時間はどこにもない。ひとり担当だからこそ余計に忙しく、余計にマニュアル化が後回しになる。そしてますます属人化が進む……。

この悪循環こそが、いちばんの敵です。

解決の一歩は「マニュアル化」=業務を会社の資産に変える

遠回りに見えて、いちばん確実な打ち手が、業務のマニュアル化(見える化)です。

「マニュアルにする」と聞くと身構えてしまいますが、目的はシンプルです。その人の頭の中にある業務を、外に出して、会社の資産にすること。

これができると――

  • 担当者は、安心して休める。引き継ぎもできる
  • 会社は、誰かに何かあっても業務が止まらない
  • 積み上げた知識が、個人ではなく会社に残る
  • 中身が見えるから、ミスにも気づけるし、改善もできる

属人化の裏返しが、そのままメリットになります。

完璧じゃなくていい。まず“棚卸し”から

「立派なマニュアルを作らなきゃ」と思うと、また手が止まります。最初は、完璧である必要はまったくありません。まずは業務の棚卸しから。こんなメモで十分です。

  1. どんな業務があるか、書き出す(例:給与計算、勤怠締め、社保手続き、年末調整…)
  2. それぞれの手順を、ざっくり箇条書き(細かくなくていい)
  3. いつやるか(頻度・締め日)を添える
  4. つまずきやすいポイント・注意点を一言メモ

これだけでも、「その人しか分からない」状態からは大きく前進します。全部を一度にやろうとせず、1つの業務から、少しずつでいいんです。

業務の“見える化”を助けるツールを準備しています

とはいえ、「どの業務から手をつけるか」「どこまでマニュアル化できたか」を管理するのも、忙しい中では大変です。

そこで今、業務の棚卸しからマニュアル化の進捗までを見える化するツールを準備しています。「作らなきゃ」と分かっていても手が回らない――そんな悪循環から、少しでもラクに抜け出せる道具を目指しています。

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ご注意

この記事は一般的な情報提供を目的としています。個別のご判断は、社会保険労務士など専門家にご確認ください。当方では就業規則などの作成代行・行政への手続き代行は行っていません。

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